特養の運営では、介護職員と看護職員の配置が基準を満たしているかどうかを定期的に点検する必要があります。入所者数の変動や退職による欠員、夜勤シフトの組み方の変化によって、気づかないうちに基準の境界に近づいていることがあります。本記事では指定介護老人福祉施設の人員基準に基づき、昼間の配置基準と夜勤の配置基準を整理し、自己点検に使えるチェックリストをまとめます。
なぜ今、配置基準の再点検が必要なのか
特養の人員配置基準は、実地指導で必ず確認される項目のひとつです。人員基準を満たしていない状態が続くと、運営指導で是正を求められるだけでなく、重大な違反と判断された場合は介護報酬の減算や指定取り消しのリスクにもつながります。入所者数は固定ではなく、退所と新規入所の入れ替わりによって日々変動します。常勤換算の計算は月単位で行うため、職員の退職やパート職員の勤務時間変更が重なると、気づかないうちに基準を下回っていることがあります。年に一度は配置基準を数値で再点検することが実務上欠かせません。
特養の人員配置基準はどう定められているか
指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準では、介護職員及び看護職員の総数について次のように定めています。
介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、入所者の数が3又はその端数を増すごとに1以上とすること。
これは介護職員と看護職員を合算した数の基準であり、どちらか一方だけで満たせばよいという意味ではありません。合わせて、看護職員の数については入所者数に応じた最低人数が別途定められています。
入所者数別に見る看護職員の最低必要人数
| 入所者数の区分 | 看護職員の最低人数 |
|---|---|
| 30人以下 | 1人以上 |
| 30人超50人以下 | 2人以上 |
| 50人超130人以下 | 3人以上 |
| 130人超 | 3人に、130人を超えて50人又はその端数を増すごとに1人を加えた数以上 |
この看護職員の最低人数は、介護職員と看護職員の合計数とは別に満たす必要がある基準です。例えば入所者60人の施設であれば、看護職員は2人以上必要であり、同時に介護職員と看護職員の合計は常勤換算で20人以上必要という計算になります。両方の基準を同時に満たしているかを確認することが点検のポイントです。
夜勤帯の配置基準はどう考えるか
夜勤帯の職員配置については、厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準で、入所者数に応じた最低人数が示されています。
入所者数別の夜勤最低配置人数
| 入所者数の区分 | 夜勤職員の最低人数 |
|---|---|
| 25人以下 | 1人以上 |
| 26人以上60人以下 | 2人以上 |
| 61人以上80人以下 | 3人以上 |
| 81人以上100人以下 | 4人以上 |
| 100人超 | 4人に、100人を超えて25人又はその端数を増すごとに1人を加えた数以上 |
この基準で定められている夜勤職員は、介護職員と看護職員のいずれでもよいとされています。つまり夜勤時間帯に看護職員が不在であっても、人員配置基準そのものには違反しません。ただし、夜間の急変対応や医療的処置が必要な場面では、配置医師への連絡体制や看護職員のオンコール体制が別途求められます。基準を満たしているかどうかと、夜間の医療対応力が十分かどうかは別の論点として整理しておく必要があります。
夜勤職員配置加算との関係を確認する
夜勤職員配置加算は、基準を上回る人数の夜勤職員を配置している場合に算定できる加算です。最低基準を満たしているだけでは加算の対象にはならず、基準数に一定数を上乗せした配置であることが要件になります。加算を算定している施設は、毎月の勤務表でその上乗せ分が実際に維持されているかを確認する必要があります。シフトの欠員が出た月に基準を下回っていないか、代替職員の配置で加算要件を満たし続けられているかを、月次でチェックする体制を整えておくことが望まれます。
自己点検チェックリスト
配置基準の再点検は、次の項目を月次で確認することから始めます。
- 当月の入所者数の実人数を確認したか
- 介護職員と看護職員の常勤換算合計数が入所者3人に1人以上の水準を満たしているか
- 看護職員単独の常勤換算数が入所者数区分の最低人数を満たしているか
- 夜勤帯の最低配置人数を入所者数区分に照らして確認したか
- 夜勤職員配置加算を算定している場合、上乗せ分の人数が実際のシフトで維持されているか
- 退職や休職による欠員が常勤換算の計算に反映されているか
- 夜間に看護職員が不在の日について、配置医師やオンコール体制との連絡手順が整理されているか
- 実地指導に備えて、勤務実績表と常勤換算の計算根拠を月ごとに保管しているか
看護職員の夜間体制はどう設計するか
夜勤帯に看護職員を配置するか、オンコール体制で対応するかは施設ごとに判断が分かれます。看護職員を夜勤に組み込む場合は、深夜割増賃金や36協定の上限時間との兼ね合いを人事労務の観点からも確認する必要があります。オンコール体制を採用する場合は、配置医師緊急時対応加算や看護体制加算の算定要件を満たすための連絡体制、記録の整備が求められます。どちらの体制を選ぶにしても、夜間に急変が発生した際の初動対応フローをあらかじめ文書化し、介護職員が単独で判断に迷わないようにしておくことが実務上重要です。
まとめ
特養の人員配置基準は、介護職員と看護職員の合計数、看護職員単独の最低人数、夜勤帯の最低配置人数という三つの基準が重なり合う形で定められています。入所者数は日々変動するため、月次で常勤換算の計算を見直し、どの区分の基準に該当しているかを常に把握しておくことが欠かせません。夜勤帯は介護職員のみでも基準上は満たせますが、夜間の医療対応力を確保するためには看護職員のオンコール体制や配置医師との連絡手順を別途整えておく必要があります。基準の充足と加算の算定要件は別の論点であることを意識し、両方を定期的に点検する仕組みを施設内に用意しておくことをお勧めします。
出典
- 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第46号) https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411M50000100046
- 厚生労働大臣が定める夜勤を行う職員の勤務条件に関する基準 https://www.mhlw.go.jp/
- 介護報酬の算定構造及び留意事項について(夜勤職員配置加算関連通知) https://www.mhlw.go.jp/