看取り介護加算とは何か?
看取り介護加算は、特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設が、入居者の看取り期に手厚い体制でケアを行った場合に算定の対象となる加算です。医師による医学的な回復見込みの判断、本人・家族への説明と同意、看取りに関する指針の整備などが前提となっており、単なる「最期を看る」ことではなく、多職種連携によるプロセス全体が評価される仕組みになっています。
2024年度の介護報酬改定では、この看取り介護加算の算定区分が見直され、より早期からの関わりを評価する方向に変更されました。特養の施設長・看護職員にとって、算定要件を正しく理解することは、報酬面だけでなく、入居者・家族への説明責任や看取りケアの質を担保するうえでも重要です。
2024年改定で単位数の区分はどう変わった?
2024年改定の大きなポイントは、死亡日からの日数に応じた単位数区分が細分化されたことです。従来は死亡日30日前からの区分でしたが、改定後は死亡日45日前からの区分が新設され、より早い段階からの看取りケアが評価対象になりました。
| 区分 | 対象期間 | 単位数(目安) |
|---|---|---|
| 区分1 | 死亡日45日前〜31日前 | 72単位/日 |
| 区分2 | 死亡日30日前〜4日前 | 144単位/日 |
| 区分3 | 死亡日前々日・前日 | 680単位/日 |
| 区分4 | 死亡日当日 | 1,280単位/日 |
※単位数は施設類型や多床室要件等により変動するため、最新の告示・通知で必ず確認してください。
なお、看取り介護加算には(I)と(II)の区分があります。(II)は配置医師等による緊急時対応体制の整備を前提とした区分で、死亡前々日・前日および死亡日当日の単位数が(I)より高く設定されています(目安:前々日・前日780単位/日、当日1,580単位/日)。夜間・休日の医療対応体制をどこまで整えられるかが、算定区分の選択にも直結します。
死亡日に近づくほど単位数が高く設定されているのは、看取り期の後半になるほど医療的・精神的ケアの密度が増すためです。逆に言えば、45日前からの区分新設は「早期からの関わりを継続すること」自体を評価する制度設計への転換を示しています。
算定要件は何をチェックすればいい?
看取り介護加算の算定には、以下のような要件を満たす必要があります。
- 医師の医学的判断:回復の見込みがないと医師が診断していること
- 本人・家族への説明と同意:看取りの方針について書面で同意を取得していること
- 看取りに関する指針の整備:施設として看取りの手順・体制を文書化していること
- 看取り介護計画の作成と見直し:入居者の状態変化に応じて計画を随時更新すること
- 24時間の医療連携体制:医師・看護職員といつでも連絡が取れる体制があること
- 多職種によるカンファレンス:医師・看護師・介護職員などが定期的に情報共有していること
- 職員への研修実施:看取りケアに関する知識・技術の研修を行っていること
これらの要件は書面(記録)で裏付けることが前提となっており、運営指導(旧実地指導)では記録の有無・整合性が重点的に確認される項目です。
算定に向けて特養が整えるべき体制は?
要件を書面で満たすだけでなく、日常の運用に落とし込む観点では、次の3点が実務上のポイントになります。
- 早期からの医療連携体制:45日前区分の新設は「直前対応」ではなく「継続的な関わり」を評価する考え方です。配置医師・協力医療機関と夜間・休日も連絡が取れる体制を平時から整えておくことが、算定の前提であると同時にケアの質を左右します。
- 本人・家族への説明と同意プロセスの標準化:人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関する厚労省ガイドライン(いわゆる人生会議・ACP)の考え方を踏まえ、意思確認の経緯を記録として残す仕組みを標準化しておくことが求められます。
- 多職種連携の記録化:医師・看護職員・介護職員・生活相談員・管理栄養士などによるカンファレンスの記録は、運営指導で整合性を確認される中心的な書類です。様式を統一し、開催日・参加者・検討内容を漏れなく残す習慣が対策になります。
株式会社Anchorでは、精神科オンライン診療や夜間オンコール体制の構築支援を通じて、特養における夜間・休日の医療連携づくりをサポートしています。看取り期に限らず、日常的に医師・看護師へつながる体制を整えておくことが、24時間の医療連携体制という要件を満たす土台になります。
まとめ
- 看取り介護加算は特養等の介護保険施設が対象で、2024年改定により死亡日45日前からの区分が新設された
- 算定には医師の判断・本人家族の同意・看取り指針の整備・多職種連携記録など複数の要件を満たす必要がある
- (II)の算定には配置医師等による緊急時対応体制の整備が関わるため、夜間・休日の医療連携体制が区分選択の分かれ目になる
- 多職種カンファレンスと意思決定支援の記録を日常的に残す仕組みづくりが、運営指導対策とケアの質向上の両方につながる
