再入所時栄養連携加算とは何か
再入所時栄養連携加算は、特養の入所者が入院中に経管栄養や嚥下調整食の新規導入など、新たな栄養管理が必要になった場合に、施設の管理栄養士が入院先医療機関の管理栄養士と連携し、栄養ケア計画を作成したときに算定できる加算です。入院を経て退院時の栄養状態が入所前と大きく変わるケースは珍しくなく、施設側が入院先の栄養管理の内容を正確に引き継げるかどうかが、再入所後のケアの質を左右します。この加算は、その引き継ぎのプロセスを評価する仕組みとして設けられています。
単位数は200単位で、入所者1人につき1回を限度として算定できます。算定できるタイミングは再入所の日から起算して1月以内に限られており、退院から時間が経ってからの算定はできません。
どのような場合に算定できるのか
算定の前提となるのは、入院中に医師の指示のもとで管理栄養士が関与するレベルの栄養管理が新たに必要になったことです。具体的には次のようなケースが該当します。
- 嚥下機能の低下により経口摂取から経管栄養へ移行した
- 誤嚥性肺炎等をきっかけに嚥下調整食への変更が必要になった
- 低栄養状態への対応として栄養補給方法が大きく変わった
一方で、入院前からすでに経管栄養や嚥下調整食を利用していた入所者が、入院を経て同じ栄養管理を継続している場合は、新規導入に該当しないため対象外です。算定可否を判断する際は、入院前後の栄養管理方法を比較し、変化の有無を確認することが出発点になります。
算定要件は何か
算定要件を整理すると次の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 入院中に経管栄養・嚥下調整食等の栄養管理が新規に必要となった入所者 |
| 連携主体 | 施設の管理栄養士と入院先医療機関の管理栄養士 |
| 必須行為 | 栄養管理に関する情報共有、栄養ケア計画の作成 |
| 算定時期 | 再入所の日から起算して1月以内 |
| 算定回数 | 入所者1人につき1回を限度 |
| 単位数 | 200単位 |
連携は管理栄養士同士であることが要件です。看護師やケアマネジャー間での情報のやり取りのみでは要件を満たさないため、施設側は入院の連絡を受けた段階で、管理栄養士が直接医療機関側の管理栄養士に接触できる体制を整えておく必要があります。
算定フローはどう進めるか
実務上のフローは次の通りです。
- 入所者の入院を把握した時点で、施設側の管理栄養士に情報を共有する
- 入院中、生活相談員や看護職員が医療機関に対して退院前カンファレンスの実施を依頼する
- 退院前カンファレンスまたは電話・書面のやり取りで、施設の管理栄養士が医療機関の管理栄養士と栄養管理の内容について情報共有を行う
- 共有内容をもとに、施設側で栄養ケア計画を新規に作成する
- 入所者が再入所する
- 再入所の日から1月以内に、加算の算定要件を満たしていることを記録とあわせて確認し算定する
入院初期の段階で管理栄養士が関与できるかどうかが、後の算定可否に直結します。入院の連絡が生活相談員や看護職員止まりで管理栄養士まで届かない施設では、この加算を取りこぼしやすい傾向があります。入院連絡のフローに管理栄養士への共有を組み込んでおくことが実務上の対策になります。
入院先医療機関との情報共有で何を共有すべきか
情報共有の内容が薄いと、栄養ケア計画の作成根拠が不十分とみなされる可能性があります。最低限押さえておきたい共有項目は次の通りです。
- 入院中に新規導入された栄養管理の方法(経管栄養の種類、投与量、投与回数など)
- 嚥下調整食を導入した場合のとろみの程度や食形態のコード
- 必要栄養量とエネルギー・たんぱく質等の目標値
- 入院中の体重変化や血液検査値など栄養状態に関する情報
- 退院後の留意事項(誤嚥リスク、服薬との関係など)
情報共有の方法はカンファレンス参加、電話、書面のいずれでも構いませんが、口頭のみのやり取りでは記録として残らず、後の実地指導で確認できない状態になりかねません。共有した内容は必ず書面やサマリー形式で残し、施設側の記録に添付しておくことが望ましい対応です。
記録に残すべき項目は何か
算定の根拠として残しておくべき記録は次の通りです。
- 入院先医療機関名と連携した管理栄養士の氏名
- 情報共有を行った日時と方法(カンファレンス、電話、書面等の別)
- 共有された栄養管理情報の内容
- 栄養ケア計画の作成日と作成者
- 再入所日と加算算定日
実地指導では、情報共有が実際に管理栄養士同士で行われたことを証明できる記録が求められます。カンファレンス参加記録や、医療機関から受け取った栄養情報提供書の写しを保管しておくと、確認がスムーズになります。
算定できないのはどんなケースか
次のようなケースでは算定できません。
- 入院前から同じ栄養管理方法を継続しており、入院中に新規の変更がなかった場合
- 管理栄養士同士の連携が行われず、看護職員同士の情報交換のみで終わった場合
- 栄養ケア計画の作成が形式的で、入院先からの情報が反映されていない場合
- 再入所の日から1月を超えてから算定を行おうとした場合
特に3点目は見落とされがちです。栄養ケア計画のひな形をそのまま流用し、入院先からの情報を反映しないまま作成してしまうと、要件を満たしていないと判断されるおそれがあります。入院先の情報を踏まえて計画内容を具体的に書き換えることが必要です。
他の栄養関連加算との違いは何か
特養には栄養マネジメント強化加算など、日常の栄養管理を評価する加算も存在しますが、再入所時栄養連携加算は入院を挟んだ再入所という場面に限定された加算である点が異なります。日常の栄養ケアマネジメント体制の整備とは別に、入退所のタイミングに特化した連携の仕組みとして位置づけて運用することが大切です。
まとめ
再入所時栄養連携加算は、入院を経て栄養管理の内容が変わった入所者を、施設側が正確に引き継ぐための仕組みを評価する加算です。算定のポイントは、入院中の早い段階で管理栄養士が関与できる体制を作ること、医療機関の管理栄養士との情報共有を書面で記録に残すこと、そして再入所から1月以内という期限を守ることの3点に集約されます。入院連絡のフローを見直し、管理栄養士への情報共有を仕組み化しておくことが、算定漏れを防ぐ最も確実な方法です。
出典
- 厚生労働省「介護報酬改定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/index.html
- 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=128154