令和8年度の介護報酬改定で何が変わったのか

令和8年度の介護報酬改定は、令和9年度改定を待たずに行われた期中改定で、令和8年6月に施行されました。改定率はプラス2.03パーセント、内訳は処遇改善分がプラス1.95パーセント、食費の基準費用額の引き上げ分がプラス0.09パーセントです。

中身は次の2点だけです。

  • 介護職員等処遇改善加算の拡充(対象を介護職員から介護従事者へ拡大、加算Ⅰロ・Ⅱロの新設など)
  • 基準費用額(食費)を1,445円から1,545円へ引き上げ

加算の新設や廃止、要件の厳格化はありません。次の本体改定は令和9年度です。

ただし、これとは別に、特養の医療連携に直接関係する要件変更が令和8年度に入っています。協力医療機関連携加算の定期的な会議の開催頻度の見直しです。

協力医療機関連携加算はどういう加算か

協力医療機関連携加算は、協力医療機関との間で、入所者の同意を得て病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催している場合に、1月につき算定する加算です。区分は2つあります。

区分単位数条件
協力医療機関が人員基準第28条第1項各号の要件を満たす場合50単位/月下記の3要件をすべて満たす協力医療機関
それ以外の場合5単位/月会議は開催しているが協力医療機関が3要件を満たさない

令和6年度は100単位でしたが、令和7年度から50単位になりました。

協力医療機関に求められる3要件は、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第28条第1項に定められています。

  1. 入所者の病状が急変した場合等において、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること
  2. 施設からの診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること
  3. 病状が急変した場合等において、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること(この要件を満たす協力医療機関は病院に限る)

3要件を1つの医療機関で満たす必要はありません。同条のただし書は、複数の医療機関を協力医療機関として定めることで各号の要件を満たすことも差し支えないとしています。

会議の頻度はどう見直されたのか

この加算が算定できない理由として、施設側から最も多く挙がっていたのが会議の負担でした。令和7年度の改定検証調査では、算定できない理由として「定期的な会議の負担が重く、会議を行えていない」が最も多く、介護老人福祉施設で46.3パーセント、介護老人保健施設で52.9パーセント、介護医療院で40.3パーセントでした。

これを受けて、令和8年度の診療報酬改定で協力対象施設入所者入院加算などのカンファレンス頻度が見直され、介護報酬側の協力医療機関連携加算も同じ頻度に揃えられました。

時期定期的な会議の開催頻度
従来概ね月1回以上。電子的システムにより協力医療機関が入所者の情報を随時確認できる体制がある場合は年3回以上
令和8年度の見直し後情報通信技術を用いた情報共有を行う場合は年1回。行わない場合は原則年3回

月1回の会議を組めずに算定を見送っていた施設にとっては、運用の前提が変わる見直しです。

情報共有の仕組みは何を基準に選ぶか

頻度が年1回まで下がる条件は、情報通信技術を用いた情報共有を行っていることです。つまりシステムの選定は、機能の多さではなく「協力医療機関の側から入所者の情報を確認できる状態を作れるか」で決まります。確認すべき項目を整理します。

  • 協力医療機関の医師と看護職員が、施設に来なくても入所者の状態を確認できるか
  • 誰がいつ何を見たかのアクセス記録が残るか
  • 会議の開催日、参加者、共有した情報の範囲を記録として出力できるか
  • 入所者本人の同意を取得した記録を紐づけて保管できるか
  • 医療情報システムの安全管理に関するガイドラインへの準拠を提供側が明示しているか
  • 施設で既に使っている介護記録システムから二重入力にならないか
  • 退所や契約終了のときにデータを取り出せるか

加算の要件は、情報を共有したことと会議を開催したことの記録で確認されます。記録が出力できない仕組みは、機能が多くても要件の証明に使えません。

導入を検討するときの順番

費用の相場を先に調べると判断を誤ります。委託費も初期費用も、施設規模と既存システムの構成で大きく変わるためです。順番は次のようにします。

  1. 協力医療機関が3要件を満たしているかを確認する(50単位と5単位の分岐点)
  2. 満たしていない要件があれば、複数の医療機関を協力医療機関として定めることで補えるかを検討する
  3. 会議の記録様式(開催日、参加者、共有情報、同意)を先に作る
  4. その記録を出力できる仕組みを比較し、複数社から見積もりを取る
  5. 加算の年間見込み額と費用を並べて判断する

入所定員50人で50単位を算定する場合、1単位10円として50単位×10円×50人×12か月で年間30万円です。単価は地域区分で変わるため、自施設の単価に置き換えて比較してください。

まとめ

令和8年度の介護報酬改定そのものは処遇改善と食費の2点で、加算の要件は厳しくなっていません。むしろ協力医療機関連携加算は、定期的な会議の頻度が情報通信技術を用いた情報共有を行う場合は年1回、行わない場合は原則年3回へと緩和されました。会議の負担を理由に算定を見送っていた施設は、協力医療機関が3要件を満たしているかの確認と、会議記録の様式づくりから着手するのが順当です。システムの選定は、その記録を出力できるかどうかを基準にしてください。

出典