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ユニットケアの収益性分析:従来型との損益比較で見える真実
特養2026-04-07

ユニットケアの収益性分析:従来型との損益比較で見える真実

「これからの特養はユニット型」と言われて久しいが、経営数字で見ると答えは単純ではない。本稿では、ユニット型と従来型の損益を実数字で比較し、ユニットケアが収益的に成立する条件を明らかにする。

単価差:ユニット型が有利

基本報酬と居住費を比較すると、ユニット型(要介護4)は従来型より1日あたり約900円高い。50床×365日なら年額1,640万円の売上差である。さらにユニットケア体制加算(13単位/日)を取得できれば、年額240万円追加。単価だけ見ればユニット型は年1,880万円有利である。

人件費:ユニット型が不利

しかし人件費で逆転する。ユニット型は「10人に1人の専属介護職員」が基本配置で、従来型の「フロア一括配置」より2〜3人多く必要になる。1人あたり年収400万円として、年額800〜1,200万円の人件費増。加えて夜勤体制も2ユニットに1人が標準で、夜勤人件費も年500万円程度増える。

人件費差は年1,300〜1,700万円。売上差をほぼ相殺し、残るメリットは年200万円程度に縮む計算だ。

収益性の分かれ目

50床特養の試算(年額、単位:万円)。

項目 ユニット型 従来型
基本報酬 32,100 30,900 +1,200
居住費 3,600 2,900 +700
ユニット加算 240 0 +240
売上合計 35,940 33,800 +2,140
介護職員人件費 14,800 13,800 +1,000
夜勤人件費 2,800 2,300 +500
設備減価償却 1,200 900 +300
コスト合計 18,800 17,000 +1,800
差引 +340

年額340万円の差。売上規模からすると1%の利益率差に過ぎない。「ユニット型=儲かる」は幻想だ。

ユニット型が収益的に勝つ3条件

それでもユニット型が勝つ施設はある。その条件は次の3つである。

  1. 稼働率98%以上を安定維持できる:地域ブランド力があり、入居待ちが常に10人以上
  2. 職員配置を3:1より厚くしない:加算要件ギリギリで運用
  3. 看取り介護加算の算定率が高い:ユニット型は家族との関係構築がしやすく、看取り期に他施設転出が少ない

この3条件を満たせば、年額1,000万円以上の収益差が出る。逆に、稼働率が95%を切る・人員を手厚くしすぎる・看取りを十分取れない、の3つが揃うとユニット型は赤字化する。

新設 vs 従来型改修

新設でユニット型を建てる場合、建築コストは従来型の1.3倍。50床で約3億円の差、減価償却で年間1,000万円程度の追加負担。これを織り込むと、新設ユニット型の損益分岐点はさらに厳しい

一方、既存の従来型をユニット型に改修する「準ユニットケア」の場合は、初期投資を抑えつつ単価を一部引き上げられるため、中規模施設での選択肢として現実的である。

2026年改定の影響

ユニットケア加算の要件見直しが議論されている。特に「ユニットリーダー研修修了者の配置」が厳格化される見込みで、未整備の施設は加算剥奪のリスクがある。今のうちにリーダー研修修了者を2名以上確保しておくことが重要だ。


次回は、特養のBCP策定の最低ラインを解説する。

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