
特養2026-04-07
特養経営のKPIダッシュボード設計:15指標で経営を見える化する
「うちの施設は何となくうまくいっている」「何となく苦しい」——特養の経営判断は感覚に頼りがちだ。しかし事業規模が年5億円を超えれば、感覚だけでは経営できない。本稿では、特養経営を見える化する15のKPIと、その運用設計を解説する。
KPIの4つのカテゴリ
特養のKPIは4つのカテゴリに分類する。
- 収益性(売上・利益)
- 効率性(人件費・稼働率)
- 品質(事故・満足度)
- 人材(採用・離職)
各カテゴリから3〜5指標を選び、合計15指標に絞る。これより多いと誰も見なくなる。
15の必須KPI
収益性(4指標)
- 月次売上(前年同月比)
- 加算取得額(加算別内訳)
- 稼働率(月次・日次)
- 経常利益率
効率性(4指標)
- 人件費率(対売上)
- 超過勤務時間(1人あたり月間)
- 派遣依存率(派遣費/人件費)
- 1人あたり介護単価
品質(4指標)
- 転倒事故件数(月次)
- 褥瘡発生率
- 家族満足度スコア(年次)
- ヒヤリハット報告件数
人材(3指標)
- 離職率(年次)
- 採用応募数(月次)
- 有給取得率
ダッシュボードの見せ方
KPIはExcel・Googleスプレッドシート・BIツールのいずれでも作れる。推奨はGoogleスプレッドシート。無料で、複数人が同時編集でき、グラフも簡単に作れる。
レイアウトはA4横1枚に15指標を配置し、月次で更新。色分けは以下のように:
- 緑:目標達成
- 黄:要注意
- 赤:要改善
1枚に収まらないダッシュボードは失敗。一目で全体が見えることが命。
月次運用の3ルール
ルール1:更新を1人に集約
複数人で更新するとバラツキが出る。事務長または経営企画担当者1名が、月初3日以内に更新する。
ルール2:経営会議で必ず議題化
経営会議の冒頭5分でダッシュボードを確認。赤の指標があれば、その場で担当者と対策を議論する。
ルール3:現場への共有
現場にも必要な指標だけ共有する。具体的には「稼働率」「ヒヤリハット件数」「家族満足度」の3指標を現場掲示板に月次掲出。現場の当事者意識が変わる。
目標値の設定
目標値は「業界平均」と「昨年度実績」の両方を参考にする。
| 指標 | 業界平均 | 優良施設 |
|---|---|---|
| 稼働率 | 95% | 98% |
| 人件費率 | 65% | 60% |
| 離職率 | 15% | 8% |
| 経常利益率 | 3% | 6% |
いきなり優良施設を目指すと現場が疲弊する。まずは業界平均を確実にクリアし、1年かけて優良レベルに近づく設計が現実的だ。
ダッシュボード導入の最初の1ヶ月
- 現状数値を集計(1週間)
- 目標値を設定(会議で決定)
- ダッシュボードを作成(1週間)
- 経営会議で報告を開始
**「作ることを目的にしない」**のが最も重要。使い続けることで初めて価値が出る。
次回は、ヒヤリハット報告の仕組みづくりを解説する。