
特養2026-04-07
特養と訪問看護の連携実務:契約・費用・加算の完全整理
看護師不足が深刻化する中、特養が訪問看護ステーションと連携するケースが急増している。しかし「どんな契約形態が可能か」「費用は誰が負担するのか」「どの加算が算定できるのか」を正確に把握している施設は少ない。本稿では、訪問看護連携の実務を全体整理する。
連携の3形態
特養と訪問看護の連携には、実務上3つの形態がある。
- 24時間連絡体制の委託:夜間オンコール業務を訪問看護STに委託
- 医療行為の随時依頼:特定のケア(褥瘡処置・吸引など)を個別依頼
- 看取り期の集中対応:看取り期のみ訪問看護を集中投入
最も多いのは1の「24時間連絡体制の委託」だ。看護体制加算IIの要件を満たすための仕組みとして使われる。
契約書の必須項目
訪問看護との契約書には、次の項目を必ず含める。
- 業務範囲(何をどこまで依頼するか)
- 対応時間(24時間 or 特定時間帯)
- 緊急時の出動基準
- 費用(月額 or 出動ごと)
- 報告・記録の方法
- 事故発生時の責任分担
- 契約期間と更新条件
「責任分担」が曖昧だと事故時にトラブルになる。特に夜間のオンコールで出動しなかった場合の責任論は、明確に定めておく必要がある。
費用相場
訪問看護連携の費用相場は次の通り。
| 形態 | 費用相場 |
|---|---|
| 24時間オンコール月額 | 10〜20万円 |
| 緊急出動1回 | 1〜2万円 |
| 褥瘡処置1回 | 3,000〜5,000円 |
| 看取り期集中対応 | 月額20〜30万円 |
50床特養で24時間オンコール契約を結ぶと年額150〜240万円。看護体制加算IIの収益(年470万円)を考えれば、十分に採算が取れる。
加算との関係
訪問看護連携で算定可能な主な加算:
- 看護体制加算II(25単位/日):24時間連絡体制が要件
- 医療連携体制加算(47単位〜):医療機関との連携が要件
- 看取り介護加算:医師・看護師の関与が要件
重要なのは、訪問看護STを「看護職員」として人員基準に含められないこと。配置要件としてはカウントできず、あくまで「連絡体制」の補完である。
選定のチェックリスト
訪問看護ステーションを選ぶ際のチェックポイント:
- 24時間対応体制が実質的に機能しているか(スタッフ人数・夜勤体制)
- 特養の経験があるか
- 医療処置の対応範囲(吸引・褥瘡・ターミナル等)
- 記録システムを特養側と共有できるか
- 職員との相性(現場の看護師との顔合わせを必ずする)
- 事故時の責任分担が明確か
- 費用が相場範囲内か
- 契約解除条項が公平か
相性のチェックは最重要。契約前に必ず訪問看護の管理者と現場の看護師が顔を合わせ、1時間以上話し合う機会を持つべきだ。
実務運用の3つの失敗
失敗1:連絡基準が曖昧
「何かあったら連絡してください」では現場が判断できない。「発熱38.5度以上」「SpO2 90%未満」など数値基準を決めておく。
失敗2:記録の断絶
特養の記録と訪問看護の記録が別々だと、情報が途切れる。共有シートを運用するのが現実的。
失敗3:費用の予算外扱い
緊急出動の回数が予算を超えると、経理から文句が出る。月次で出動回数を集計し、年間予算を立てる。
次回は、介護福祉士の実習生受入と育成を解説する。