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特養のBCP策定:最低ラインと実効性を持たせる3つの仕掛け
特養2026-04-07

特養のBCP策定:最低ラインと実効性を持たせる3つの仕掛け

2024年4月に義務化されたBCP。多くの特養で「一応作った」状態になっているが、実効性の検証が進んでいない。本稿では、BCPの最低ラインを示した上で、形骸化を防ぐ3つの仕掛けを提示する。

BCPの2タイプを使い分ける

特養に求められるBCPは大きく2つ。感染症BCPと自然災害BCPである。両方を別冊で作るのは現実的でなく、共通フォーマットで作成し、発動条件だけ分けるのが実務的だ。

最低ライン:記載すべき6項目

  1. 発動基準(誰が、どの情報で、いつ発動するか)
  2. 指揮命令系統(施設長不在時の代行順位)
  3. 優先業務の選定(食事・排泄・服薬・医療対応をどこまで縮小するか)
  4. 人員確保(応援要請の連絡先、他施設相互支援協定)
  5. 物資備蓄(食料・水・医療・防護具の最低日数)
  6. 家族・関係機関への連絡体制

どれも「書けばよい」ものではない。発動基準が曖昧なBCPは発動されない、というのが過去の災害で繰り返された教訓だ。

仕掛け1:年2回の訓練を「半日」で

BCPは訓練しないと忘れ去られる。しかし半日以上拘束する訓練は現場の反発を招く。推奨は年2回、各3時間の机上訓練。実地訓練ではなく、シナリオ読み上げ+判断訓練で十分に効く。

シナリオ例:

  • 夏季の震度6、断水、夜勤2人、入所者1名の急変、職員5名が出勤不能

このシナリオで「誰が何を決めるか」を3時間議論するだけで、BCPの穴が可視化される。

仕掛け2:他施設との相互支援協定

BCPの肝は「自施設で何とかする」発想を捨てることだ。近隣の特養・老健・小規模多機能と相互支援協定を結ぶ。内容は「職員の一時派遣」「入所者の一時受け入れ」「物資融通」の3つ。

協定書は1枚で作成可能。重要なのは定期連絡会を年2回開き、担当者の顔を覚えておくこと。紙の協定だけでは発動時に機能しない。

仕掛け3:備蓄の「見える化」

備蓄を倉庫に積み上げるだけでは劣化・紛失のリスクがある。推奨は次の運用。

  • リスト化し、場所・数量・賞味期限を四半期ごと更新
  • 備蓄日数を「職員1人あたり3日×想定稼働人数」で計算
  • ローリングストック方式で、日常使用と備蓄を一体化

特に防護具(マスク・ガウン・手袋)は2024年のコロナ流行を機に再整備が必要。最低2週間分を目安にする。

2026年改定での位置づけ

2026年改定では「BCPの実効性確保」が実地指導項目に格上げされる可能性が高い。「作っただけ」のBCPは指摘対象になる見込みで、訓練実施記録・協定書・備蓄リストの3点セットが揃っていることが最低条件となる。

BCP点検チェックリスト

  • 発動基準が具体的な数値・現象で書かれているか
  • 代行順位が3段階以上設定されているか
  • 年2回以上の訓練記録があるか
  • 他施設との相互支援協定があるか
  • 備蓄リストが四半期更新されているか
  • 連絡先リストが最新化されているか
  • 家族への連絡手段が2系統以上あるか

次回は、処遇改善加算の最新運用を解説する。

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