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技能実習生から特定技能への移行、GHの手続きと定着率を高める実務ポイント
staffing2026-07-27

技能実習生から特定技能への移行、GHの手続きと定着率を高める実務ポイント

監修: 中村 康宏株式会社Anchor 代表取締役 / 医師

TL;DR

技能実習生から特定技能への移行は、技能実習2号を良好に修了していれば試験免除で進められます。ただし在留資格変更許可申請には1〜3か月かかり、支援計画や雇用契約書など準備すべき書類も多岐にわたります。移行のタイミングを定着施策と組み合わせることで、離職リスクを下げながらスムーズに人材を確保できます。

技能実習生と特定技能はどう違うのか

技能実習と特定技能は制度の目的も在留期間の考え方も異なります。グループホームの採用担当者が混同しやすいポイントを表に整理しました。

項目 技能実習(介護職種) 特定技能1号(介護)
制度目的 技能移転による国際貢献 人手不足分野の労働力確保
在留期間 最長5年(1号2号3号合算) 通算5年(1号のみ、2号対象外)
転籍 原則不可(やむを得ない場合のみ) 同一職種内で可能
家族帯同 不可 不可(1号の場合)
受け入れ機関の支援義務 監理団体経由 登録支援機関または自社支援
試験 入国時に日本語N4相当 介護技能評価試験・日本語N4相当(移行時は原則免除)

技能実習は国際貢献という建前があるため転籍が制限されますが、特定技能は労働力確保が目的のため、同一職種内であれば施設を移ることも制度上は可能です。この違いが定着率に直結するため、後述する処遇改善が重要になります。

移行手続きはどのようなステップで進めるのか

技能実習2号を良好に修了した実習生であれば、以下の6ステップで移行手続きを進めます。

  1. 本人の意思確認と移行希望のヒアリング
  2. 特定技能雇用契約書の作成と説明
  3. 支援計画書の作成(自社支援または登録支援機関への委託)
  4. 在留資格変更許可申請書類一式の準備
  5. 地方出入国在留管理局への申請
  6. 許可後の在留カード切替と各種届出

必要書類のチェックリストは次の通りです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 特定技能雇用契約書の写し
  • 雇用条件書
  • 支援計画書
  • 技能実習2号修了証明書または実習実施報告書
  • 健康診断個人票
  • 施設の登記事項証明書
  • 事業所の概要書
  • 報酬に関する説明書(日本人との待遇比較)

書類不備による差し戻しは珍しくなく、特に報酬に関する説明書で日本人職員との賃金比較が曖昧なケースが指摘を受けやすい項目です。給与テーブルを事前に整理しておくことで手戻りを防げます。

移行にかかる期間と費用はどれくらいか

申請から在留資格変更許可までの標準処理期間は公表されていませんが、現場感覚では次のようなスケジュールになることが多いです。

工程 目安期間
本人ヒアリングと書類準備 2〜4週間
支援計画書作成(委託の場合) 1〜2週間
出入国在留管理局への申請 即日〜数日
許可までの審査期間 1〜2か月
在留カード切替 1〜2週間

合計すると2〜3か月程度を見込んでおくのが現実的です。技能実習の在留期限が近づいてから動き出すと空白期間が生じるリスクがあるため、期限の4か月前には準備を始めることを推奨します。

費用面では、登録支援機関へ委託する場合の月額支援委託料が1人あたり2万円から3万円程度、初回の申請書類作成support費用が5万円から10万円程度かかるケースが一般的です。自社で支援体制を構築できれば委託料は抑えられますが、支援業務は義務項目が10項目以上あるため、専任担当者を置けない小規模施設では委託の方が現実的な選択になります。

定着率を高めるにはどうすればいいか

特定技能は転籍が可能な制度であるため、移行をきっかけに離職や転職が発生しやすいタイミングでもあります。定着率を高めるために押さえておきたいポイントを整理します。

処遇面での確認事項

  • 日本人職員と同等以上の報酬になっているか
  • 移行に伴う昇給が本人に明確に説明されているか
  • 賞与や手当の支給基準が実習生時代と変わっていないか
  • 住居費用の自己負担割合が急に増えていないか

生活支援面での確認事項

  • 日本語学習の継続支援があるか
  • 生活相談窓口が形骸化していないか
  • 同国籍の先輩職員とのつながりを作れているか
  • 一時帰国や休暇取得のルールが明確か

コミュニケーション面での確認事項

  • 移行後の役割や業務範囲を本人と管理者で擦り合わせているか
  • 評価制度が実習生時代から特定技能向けに更新されているか
  • キャリアパス(将来の資格取得や役職)を提示できているか

定着施策は移行手続きが完了してから始めるのではなく、移行の3か月前から並行して進めることが望ましいです。ある施設では移行前面談を実施したグループとしなかったグループを比較したところ、面談を実施したグループの1年後定着率は9割を超え、実施しなかったグループより高い水準を維持できたという報告もあります。手続きと定着施策を切り離さず、同じプロジェクトとして管理することが実務上のポイントです。

よくある失敗パターンとは何か

移行手続きで実際に発生しやすいトラブルを整理しておきます。

  • 在留期限ギリギリに申請し、許可が間に合わず就労できない期間が発生する
  • 報酬の説明資料が不十分で追加書類の提出を求められる
  • 支援計画書の内容が実態と乖離しており実地調査で指摘を受ける
  • 移行後に業務内容が実習時代と変わらず、本人のモチベーションが下がる
  • 転籍を検討している本人に気づかず、突然の退職届で欠員が発生する

いずれも早期のコミュニケーションと書類準備の前倒しで防げるものです。特に転籍リスクについては、本人の意向を定期的に確認する面談の仕組みを制度化しておくことが有効です。

まとめ

技能実習生から特定技能への移行は、書類準備と申請だけを見れば事務手続きの延長のように見えますが、実際には定着率を左右する重要な転換点です。手続きのスケジュール管理と処遇改善、生活支援の見直しをセットで進めることで、外国人材の力を長期的な戦力として活かせる体制を作ることができます。

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