
訪問看護のオンコール負担を軽減する方法|シェアリングモデルとは
訪問看護ステーションの看護師にとって、オンコール対応は最も大きな負担の一つです。特に小規模ステーションでは、月に10回以上のオンコール当番を担うケースも珍しくありません。本記事では、オンコール負担を軽減する「シェアリングモデル」の概要とメリットを解説します。
訪問看護のオンコールの実態
訪問看護ステーションの約9割が24時間対応体制を取っており、そのほとんどがオンコール(自宅待機)方式です。
オンコールの負担
| 項目 | 実態 |
|---|---|
| 月間オンコール回数 | 8〜15回(看護師3名の場合) |
| 1回あたりの電話件数 | 平均1.5件 |
| 深夜の電話割合 | 約35% |
| 緊急訪問に至る割合 | 約20% |
| オンコール手当 | 1回1,000〜3,000円 |
日本訪問看護財団の調査では、訪問看護師の離職理由の第1位が「オンコール負担」となっています。
シェアリングモデルとは
シェアリングモデルとは、複数の訪問看護ステーション間、または外部の看護チームとオンコール対応を分担する仕組みです。
タイプ1: ステーション間シェアリング
近隣の複数の訪問看護ステーションが協力し、夜間・休日のオンコール対応を輪番で行うモデルです。
仕組み
- 3〜5ステーションでグループを形成
- 各ステーションが週1〜2日のオンコールを担当
- 利用者情報を共有システムで管理
- 対応記録を翌朝に共有
メリット: オンコール回数が1/3〜1/5に減少。追加コストが少ない。
デメリット: 他ステーションの利用者情報の把握が必要。情報共有の仕組み構築が必要。
タイプ2: 外部委託型シェアリング
オンコール対応を専門の外部事業者に委託するモデルです。
仕組み
- 外部の看護チームが夜間・休日のオンコールを代行
- 利用者情報はクラウドで共有
- 緊急訪問が必要な場合は、ステーションの看護師に連絡
メリット: ステーション看護師のオンコール負担が完全にゼロに。品質が安定。
デメリット: 委託費用が発生(月額15万〜30万円)。緊急訪問の対応が課題。
タイプ3: ハイブリッド型
電話相談は外部委託し、緊急訪問はステーション看護師が対応するモデルです。
メリット: 電話対応の負担はゼロに。緊急訪問は自ステーションの看護師が対応するため、利用者との関係性が保たれる。
デメリット: 緊急訪問のためのオンコール体制は維持が必要。
導入の効果
シェアリングモデルを導入したステーションでは、以下の効果が報告されています。
- 看護師の月間オンコール回数: 12回 → 2回
- 看護師の離職率: 年間25% → 10%
- 看護師の採用応募数: 2倍に増加
- 利用者満足度: 変化なし(品質維持)
導入のステップ
- 現状分析: 月間のオンコール件数、緊急訪問件数、看護師の負担状況を把握
- モデルの選択: ステーションの規模と予算に応じて最適なモデルを選択
- パートナーの選定: 協力ステーションまたは委託先の選定
- 情報共有基盤の構築: 利用者情報の共有方法と管理体制を整備
- 試行運用: まずは週末のみなど、限定的に開始
- 本格運用: 試行の結果を踏まえて本格導入
まとめ
訪問看護のオンコール負担軽減は、看護師の離職防止と採用力強化に直結する重要な課題です。シェアリングモデルは、その有効な解決策として全国に広がりつつあります。自ステーションに合ったモデルを選択し、看護師が長く働ける環境を整えましょう。