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データで読み解くグループホーム経営、収益性と持続可能性を測る7つのKPI
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データで読み解くグループホーム経営、収益性と持続可能性を測る7つのKPI

この記事の要点

認知症グループホームの経営は、稼働率さえ高ければ安泰というものではありません。人件費構造や加算算定の状況、資金繰りの余力まで含めて多面的に把握する必要があります。この記事では、収益性と持続可能性を測るための7つのKPIを、計算式と目安数値つきで整理します。月次のモニタリング項目としてそのまま活用できる内容になっています。

なぜ稼働率だけでは経営状態を判断できないのか

多くの施設で稼働率は最も注目される指標です。しかし稼働率が95%を超えていても、赤字が続いているグループホームは珍しくありません。理由は主に次の3点です。

  • 稼働率は高いが加算の算定率が低く、単価が上がっていない
  • 人員配置が稼働率に対して過剰で、人件費率が高止まりしている
  • 稼働率は高いが入居者の重度化により医療連携コストが増えている

稼働率は経営の入口にすぎず、そこから先の収益構造を見なければ本当の経営状態は見えてきません。以下では、稼働率を含めた7つのKPIを順に見ていきます。

KPI1、稼働率(入居率)はどう計算し何%を目安にすべきか

計算式は「入居者数 ÷ 定員数 × 100」です。認知症グループホームの経営が安定するラインは、一般的に95%前後とされています。

稼働率 経営状態の目安
98%以上 満床に近く待機者リストの整理が課題
93〜97% 安定ライン、収支は黒字傾向
88〜92% 要注意、入退去の要因分析が必要
87%以下 赤字リスク大、早急な対策が必要

定員18名の施設であれば、1名の退去で稼働率が約5.5ポイント下がる計算になります。退去理由を分類し、看取りによる自然減か、それとも医療ニーズ対応の限界による転居かを区別して記録しておくことが、次の対策につながります。

KPI2、人件費率はどこまで許容できるか

計算式は「人件費総額 ÷ 総収入 × 100」です。介護サービスは労働集約型であるため人件費率は高くなりがちですが、グループホームの標準的な目安は65〜70%です。

人件費率 評価
60%未満 効率的だが人員不足のリスクも確認
60〜70% 標準的な水準
70〜75% 要注意、シフトと加算の見直しを検討
75%超 収益構造の再設計が必要

人件費率が高い場合、単純な人員削減はケアの質低下につながるため避けるべきです。まずは加算算定率を上げて分母である総収入を増やすアプローチを優先します。

KPI3、加算算定率はどの程度取れていれば十分か

計算式は「実際に算定している加算件数 ÷ 算定可能な加算件数 × 100」です。医療連携体制加算、認知症ケア加算、看取り介護加算などを対象に、施設ごとの算定可能上限に対する実績を確認します。

目安として、算定可能な加算のうち80%以上を取得できている施設は収益性が高い傾向にあります。逆に60%を下回る場合、要件を満たしているのに書類不備で算定できていないケースが多く見られます。半年に一度、加算の棚卸しを行うことをおすすめします。

KPI4、営業利益率は業界平均と比べてどうか

計算式は「営業利益 ÷ 総収入 × 100」です。厚生労働省の介護事業経営実態調査などを参考にすると、グループホームの営業利益率は平均で3〜8%程度とされる年が多く、10%を超えると優良水準と言えます。

営業利益率 評価
8%以上 優良、再投資の余力あり
3〜7% 標準的、変動費の管理が重要
0〜2% 収支ギリギリ、固定費の見直しが必要
マイナス 早急な収支改善計画が必要

単月の数値だけでなく、直近12か月の平均で見ることで季節変動の影響を排除できます。

KPI5、労働生産性はどう測るのか

計算式は「総収入 ÷ 総労働時間」です。1時間あたりどれだけの収入を生み出しているかを見る指標で、人員配置の効率性を測るのに適しています。

目安としては1時間あたり3,000〜3,500円程度が一つの基準です。これを下回る場合、シフトの重複や非稼働時間の多さが疑われます。記録業務や申し送りにかかる時間を可視化し、ICT化で削減できる部分がないか確認することが有効です。

KPI6、職員一人当たり売上高で規模の適正を見る

計算式は「総収入 ÷ 常勤換算職員数」です。定員18名のグループホームであれば、常勤換算で12〜14名程度の職員数に対し、年間売上高は4,500万〜5,500万円程度が一般的なレンジとされています。

この指標が業界平均より大きく低い場合、稼働率の低さか加算算定率の低さのどちらかが原因になっていることが多いため、KPI1とKPI3をあわせて確認します。

KPI7、資金繰りの余力、運転資金月数はどう見るか

計算式は「現預金残高 ÷ 月間固定費」です。この数値が何か月分の固定費をまかなえるかを示します。

運転資金月数 評価
3か月以上 安全水準
1.5〜3か月 標準、突発的な支出に注意
1.5か月未満 資金繰りリスクが高い

介護報酬の入金は請求から約2か月後になるため、常に1.5か月分以上の運転資金を確保しておくことが望ましいとされています。加算の算定が遅れると入金サイクルにも影響するため、KPI3とあわせて資金計画を立てることが重要です。

7つのKPIを月次でどう管理すればよいか

以下は月次モニタリングの実務チェックリストです。

  • 稼働率を毎月1日時点と月末時点の両方で記録しているか
  • 人件費率を職種別に分解して確認しているか
  • 加算算定率を加算種類ごとに一覧化しているか
  • 営業利益率を直近12か月の移動平均で見ているか
  • 労働生産性を非稼働時間の内訳と合わせて記録しているか
  • 職員一人当たり売上高を同規模施設のベンチマークと比較しているか
  • 運転資金月数を資金繰り表と連動させて管理しているか

7項目すべてを一枚のダッシュボードにまとめ、管理者と経理担当者が同じ数値を見ながら議論できる体制を作ることが、実務上もっとも効果的です。会計ソフトや介護記録システムからデータを自動取得できる仕組みがあれば、集計作業の負担も大幅に軽減されます。

まとめ

収益性と持続可能性は、稼働率だけでなく人件費率、加算算定率、労働生産性、資金繰りまで含めた総合的な視点で判断する必要があります。7つのKPIを毎月同じフォーマットで記録し、数値の変化点をチームで共有することが、経営改善への最短ルートになります。まずは自施設の現在地を7つの指標で洗い出すところから始めてみてください。

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